vol.1
写真・文/Jun Nakano
九重町でこんな話を耳にした。
ある運動会では、いつも即興唄(甚句?音頭?)で盛り上がるのだという。
「こんな調子(リズム)で太鼓を叩いて、
目で合図(アイコンタクト)を送ったら
次はこんな調子で叩いてほしい」
頼まれた人がその通りに太鼓を叩くと、
唄い手さんはリズムに乗って
皆の興味津々なネタで会場をじわじわ盛り上げていき、
アイコンタクトで調子が変わる頃には、
うねるような歓声と拍手で
終いにはグランドの皆が一体になったという。
………ラッパーじゃん
発祥こそ異なるものの、我ら農民の盛り(ブチ)上がり方は
それぞれの遺伝子に記憶・継承されていたようだ。
その方が誰なのかは個人情報の何とかでまだ辿り着けないけれど、
尊敬の念(いわゆるリスペクト)はこうして発しておきたい。
みんなの地区それぞれに、
生ける伝説的人物(レジェンド)が潜んでいるのかもしれない。
たまには日頃のあれこれを傍に。
民俗学最前線はここにあり。
無名であるほどヤバめ(最高)かも。
季節の巡る頃、何かを目撃することになるかも…。